顧問弁護士を選ぶにあたっては、以下のポイントを考慮しながら、末長くお付き合いできる方を選びましょう!

料金

 やはり、まず気になるのは料金かと思います。
 顧問弁護士料の月額相場は、3万円から20万円位でしょう。
 弁護士会の旧規程では月5万円以上となっていましたので、多少ハードルを下げる料金形態も出てきたことになります。
 ネットで検索すると、月額1万円を切るような顧問サービスを売りにしている事務所もあるようですが、おいしい話に不用意に飛びつかず、サービス内容をじっくりと吟味して下さい。
 そのような格安の値段を売りにしているところは、サービスを受ける都度別途料金が発生するか、利用できるサービスが極めて限定されていることが分かります。
 弁護士の基本的な相場は1時間の業務に対して、だいたい1万円~2万円位です。
 顧問のサービス量に応じて見せ方を変えているだけで、実は料金でたいした差は出ないのです。

 本来の顧問契約というのは、予防法務の見地から弁護士の方から積極的にチェックする体制が求められますが、格安をうたうサービスはたいてい月あたり数時間までの相談のみとなっており、もはや顧問としての体をなしていないといえます。
 格安をうたっている顧問は名ばかりで、何かあったときにうちの事務所に仕事を持って来てくれるように、金を取って唾をつけているにすぎません。
 弁護士会の旧規程が最低額を5万円としていたことからも顧問として機能するラインがいくらであるかはだいたい想像がつくかと思います。
 本気で顧問弁護士を考えているのであれば、このような無駄にお金を吸い取られるだけの名ばかり顧問だけは避けたいところです。

 企業の規模に応じて利用する頻度や内容は異なるかと思いますので、月額3万円から20万円位の中で自社にマッチしたプランを用意しているところがいいでしょう!

内容

 料金に大差はないことはお分かりいただけたかと思います。
 ただ、顧問契約で提供されるサービスの内容や方法には多少の差が見られます。
 相談は対面でできるのか、土日も対応できるか、顧問弁護士表記ができるか等、顧問契約に含まれているサービス内容はしっかり確認しておきましょう!
 

相性

 顧問契約で最も重要なポイントは相性といって過言ではありません。
 スポットで弁護士と契約するのと異なり、顧問弁護士とは長い付き合いになります。
 いくら著名で優れた弁護士であっても、相性が悪く気軽に相談できないようでは意味がありません。
 したがって、顧問弁護士を選ぶにあたっては経営者や法務担当者との相性を最も重視すべきです。
 ただし、企業側の窓口となる法務担当者は変わる可能性がありますので、一般受けしないような癖のある弁護士は避けた方がよいでしょう!

年齢

 弁護士の年齢も重要なポイントです。
 顧問弁護士は、法務担当者のみならず経営者を指導すべき立場にあります。
 人生経験に乏しく会社組織や経営を理解していない未熟な弁護士を避けるべきであるのはいうまでもありませんが、ネット社会に対応できず説教じみたことしか言えないベテラン弁護士も避けた方がいいでしょう!
 長い付き合いになる顧問弁護士です。その先生とこの先どれだけ長いお付き合いが出来るかも考える必要があります。

経験

経験は弁護士のクオリティをはかる上で一つの目安となりますが、弁護士としての経験そのものは、事務所によって業務内容にかなり偏りがあるので、あまり参考にはなりません。
 企業における顧問弁護士を選ぶに当たって最も重要な経験は、企業組織における実務経験です。
 顧問弁護士は顧問先企業の従業員に対する指導・助言を日常的に行うにとどまらず、経営者のよき相談パートナーとなることが求められます。
 経営や経営組織を直接体感したことがない弁護士が企業マインドを踏まえた適切な仕事が出来ないことはいうまでもありません。
 相性の話にも絡みますが、たいていの弁護士は学校を出てそのまま弁護士となります。いきなり先生と崇め立てられて偉くなったと勘違いし、上から目線で法律論をかざしてしまうため現場との温度間の違いから関係がギクシャクしたものとなってしまうケースが多いのです。
 顧問弁護士を選ぶ際は、必ず企業組織内における経験があるか(弁護士になってからの企業への出向を含む)を吟味すべきです。
 欲を言えば、企業での法務の経験があれば、現場目線での解決の方法まで助言を仰ぐことが出来るので、心強い存在となるでしょう。

専門性

 よく顧問弁護士を選ぶ際に専門性を挙げる方がいますが、スポット的な対応でなく継続した関係を築きあらゆる問題に対応する顧問弁護士においては、特殊な業界や大企業がその分野の顧問弁護士を追加する場合を除き、そこまで専門性にこだわる必要はなく、むしろ、企業で要求される最低限の法律を満遍なく押さえていている方が、使い勝手がいいといえます。
 弁護士もありとあらゆる法律をおさえているわけではなく、業法等は、顧問になってから勉強していくことがほとんどですし、極めて専門的な領域については、顧問弁護士とは別にそのような問題が生じた際に、都度その分野の専門の事務所にスポットで依頼することが一般的です。

場所

 
 顧問弁護士は、打ち合わせがしやすい本社もしくは法務担当者がいる事業所から近い位置に事務所があることに越したことはありません。
 もっとも、最近は、スカイプ等でのやり取りも一般的となっていますし、日常的な相談のほとんどは電話やメールですので、法律相談だけであれば特に場所に固執する必要はないかもしれません。
 むしろ、重要なのは、訴訟がどこで提起される蓋然性が高いかです。
 弁護士が遠くの裁判所に行く場合は多額の出張費や日当がかかってしまうので、仮に本社が地方にある場合であっても、取引先や顧客が都心にあるような場合だと、裁判が提起されやすい都心の弁護士を顧問弁護士としておくのも戦略の一つです。
 当職のサテライト顧問サービスのような、使い方もおススメです。

規模

 
 顧問弁護士の所属する事務所の規模としては、緊急時に不在で対応できない個人事務所よりは、バックアップで他の弁護士が対応できる複数の弁護士が所属している事務所が理想ですが、大きな事務所だと担当の顧問弁護士が突然海外留学に出てしまったり、地方に異動になってしまうこともあるので注意が必要です。

評判

 一般的な感覚だと、口コミや評判を検索したくなるかもしれません。
しかし、企業の顧問をメインに行う弁護士の場合、顧客は個人ではなく企業です。通常信頼関係がありますし、仮に信頼関係が崩れても分別をふまえた担当者や経営者がネットに評判を書き込むわけがありません。
 残念ながら顧問弁護士としての評判、特に批判はネットでは出てこないのです。 
 批判の書き込みなどしたら、弁護士の顧問先は多くても数十社ですからすぐに特定され、当該弁護士から訴えられてしまうでしょう。
 まれに、個人の方からの批判がヒットすることがありますが、弁護士のいうのは恨まれ易い仕事です。どんなにまともな仕事をしても負ければ依頼者から、勝っても相手から批判の的になるので、あまり気にしない方がよいでしょう。

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