顧問契約のタイミングとしては、顧問弁護士を意識したときが最も最適なタイミングですが、大きく分類すると6つのタイミングがあるかと思います。
いずれにせよ、顧問契約の最大の意義は、予防法務により問題をおこさないようにする点にあるので、なるべく早いタイミングで契約することが重要です。
① 起業時
② 従業員雇入時
③ トラブル時
④ 新規事業立ち上げ時
⑤ 上場時
⑥ 顧問弁護士切り替え時
① 起業時
スタートからつまずかないためにも起業の際から顧問弁護士をつけることがベストといえます。
中には、最初は資金調達できるか、事業をうまく軌道に乗せられるか、顧客をとれるか等、に意識が行きがちで、資金的にも後回しという方もいるかもしれません。
しかし、経営者が資金面や企画、営業に集中する体制を整えるためにも、顧問弁護士を始めから入れて法務・コンプライアンスを一任することがスタートダッシュの成功の秘訣です。
また、実績がなく、信用力に乏しいスタートアップ時においては、顧問弁護士を入れることで対外的信用性を構築するという重要な意義があります。
とにかく事業を軌道に乗せたいと必死になっているときは盲目になりがちです。
あるとき、急にブルーオーシャンが見えて、チャンスとばかりにそのまま突き進んでしまうことがよくありますが、たいていの場合は法の地雷を踏み、行政指導や訴訟に巻き込まれて事業どころでなくなるばかりか、一番大事な信用も失うことになります。
成功者と脱落者の違いは、計画的に始めから顧問弁護士を入れるか否かにも現れます。
成功される方は、「ベンチャーは勢いで突き進むも結局は違法な地雷を踏んで一瞬で消えるか無駄な遠回りをすること」を、ライブドア事件等から学び熟知していますので、顧問弁護士に対する初期投資を惜しません。
② 従業員雇入時
事業が軌道に乗って従業員も雇うようになり、組織が出来上がってきたタイミングで顧問弁護士をつける企業は多いです。この段階で顧問弁護士の重要性を認識できるかがブラック企業への道を歩むか否かの分岐点ともなります。
この時期は、ふと立ち止まり、コンプライアンスを意識するいいタイミングなので、人のコントロールがきかなくなり何か事件が起こる前にぜひ、顧問弁護士をつけることをお勧めします。
③ トラブル時
何か訴訟等の紛争に巻き込まれた際に、顧問弁護士の必要性を実感して契約するパターンです。
よほどのブラック企業でない限り、トラブル後は懲りて顧問弁護士を入れるところがほとんどです。
ただ、事件が起こってからでは遅いので、出来ればトラブルになる前に契約しておきたいところです。
④ 新規事業立ち上げ時
トラブルはなくとも、新規事業立ち上げの際に、リーガルチェック等の必要性から弁護士を入れ、そのまま顧問契約するパターンです。
既に顧問弁護士がいる場合であっても、新規事業分野に詳しい弁護士をセカンド顧問とするケースも多といえます。
⑤ 上場時
上場の際は、一定のコンプライアンス水準が要求されることから、上場を目指す規模の会社であれば、それまでにほぼ100%顧問弁護士をつけることになります。
⑥ 顧問弁護士切り替え時
これまでに顧問弁護士がいるような場合でも、相性やパフォーマンスが悪かったり、高齢等で世代交代せざるをえないタイミングで、新たに顧問契約を締結し直すパターンです。